三菱自動車に「マイナスイメージ持たせたい?」 スクープ報道にあるアライアンスの中身を再度検証してみた!
国沢光宏
日本経済新聞は、2021年9月13日に「三菱自動車、日産と全ての車台共通化 国内向け」という記事をイブニングスクープとして出しましたが、その内容はすでに公表されている事実だといいます。自動車ジャーナリスト。国沢光宏氏がその「スクープ」を再度検証していきます。
三菱自動車報道の謎、何があったのか?
2021年9月13日に日本経済新聞がイブニングスクープとして「三菱自動車、日産と全ての車台共通化 国内向け」という記事を出した。
この件、すでに1年前に発表されていることであり、読むと今になって三菱自動車の業績が急激に悪化しているように感じさせられる。
公表済みの内容をなぜ「スクープ」としたのだろうか。改めて検証してみたい。
三菱のアセアン市場を支えている3列ミニバン「エクスパンダー」
1年前の2020年5月27日の記者会見でおこなわれた発表の概要を紹介しておく。
2)AとBセグメントはルノーが開発をおこなう。
3)CとDセグメントと電気自動車のプラットフォームは日産が開発をおこなう。
このような上記の内容。
したがって三菱自動車は車体(プラットフォーム)の開発はしないとハッキリ発表した。
すでに発表されている日産新型「エクストレイル(北米名ローグ)」と三菱の次期型「アウトランダーPHEV」は共通プラットフォームだし、日産「アリア」とミュンヘンショーで発表されたルノー「メガーヌEテックエレクトリック」も日産が開発担当した「CMF-EVプラットフォーム」となる。
といった具合で日産とルノー、三菱自動車のアライアンスは1年前に発表された通りに進行しているのだった。
日経新聞は開発費の削減も強調していたけれど、これまた規定の路線であり三菱自動車の業績が悪化したり、縮小均衡策を一段と進めるといった方針変更でもない。三菱自動車の足を引っ張ろうとしているようにしか感じないです。
ちなみに三菱自動車が新型車の開発を全面的に止めるということじゃない。
日経も「独自に開発するのは収益源である東南アジア市場向けのふたつだけにする」と書いてある通り、独自開発を続けている。
この点、私が2020年11月にくるまのニュースで加藤社長のインタビューした際、聞いてます。東南アジア向けの車体開発は継続すると明言した。
もう少し含みを持たせれば、現在インドネシアで生産され大ヒット中の1.5リッターエンジンを搭載するコンパクト3列シートミニバンである「エクスパンダー」の後継車を日本に持ってきて売ることだって可能。
ルノーが開発を担当しているA&Bセグメントのコンパクトカーよりずっと安くて魅力的な小型車になるかもしれません。
日経新聞の記事を読むと三菱自動車の厳しさだけ感じてしまうが、東南アジア開発のプラットフォームに、リーズナブルで安全かつ高性能のリン酸鉄リチウム電池を搭載、価格競争力の電気自動車を数年後に発売してくる可能性は十分ある。
三菱自動車、東南アジアに行くと依然としてブランドイメージは日産を凌ぐほど。
いずれにしろ現時点に於ける三菱自動車の最重点対応項目は、アライアンスで開発した新型アウトランダーの販売を伸ばすことと、収益力の大きい東南アジア市場への注力だと思う。
2020年度決算を見るとタイからだけの収益で600億円もある。不採算部門をリストラし、収益を上げられる部門に投資していけば早期の黒字化も見えてくるかもしれない。
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この日産とルノーのやり方は三菱を除け者にしてるように見せて、三菱の負担を減らしてアジア圏での売上を伸ばし三菱の再興を狙った動きに見える…
ルノーは三菱を見捨てる気は無さそうだ…
少し安心しました。