モチーフにはXR750やフォーティエイトも
ハーレーダビッドソンは、予告通りスポーツスターを刷新したモデル「スポーツスターS(SPORTSTER S)」を正式発表。可変バルブタイミングを搭載した水冷Vツインエンジン“レボリューションマックス1250T”にモダンクラシックなデザインを組み合わせ、最新の電子制御システムを採用する。サスペンションはフルアジャスタブルだ。
〈動画〉ハーレーダビッドソンジャパン野田社長を質問攻め【パンアメリカは? 次期スポーツスターは?】
今までの物語の新章ではない。全く新しい物語が始まる!
ハーレーダビッドソンはブランニューモデル「スポーツスターS(SPORTSTER S)」を正式発表した。登場したばかりのパンアメリカとベースを共有するレボリューションマックス1250Tエンジンを、ボバースタイルとフラットトラックレーサーを融合したような新デザインの車体に搭載し、185万8000円~188万7700円で発売する。正式発表当日となる2021年7月14日より国内正規ディーラーで予約販売を開始し、今秋より順次納車が可能になるという。
1957年の登場以来、ハーレーダビッドソンの歴史を彩ってきたスポーツスターが生まれ変わる。64年にわたる歴史を身にまといながら全てを刷新したスポーツスターSは、世代交代を遂げようとしているハーレーダビッドソンの象徴とも言える存在だ。
長い歴史を誇るスポーツスター系のエンジンは高い汎用性で知られ、ロードバイクやデイトナレースバイク、スクランブルレース、フラットトラックレース、ヒルクライムなど様々なマシンに使用されてきた。1970年にはストリームライナー(葉巻型ロケットのような最高速アタック用マシン)に搭載され、426km/hという世界最高速度記録を打ち立てた。
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―― 1957年~1985年に使用された、通称“アイアンヘッド”のスポーツスターエンジン。現在のスポーツスターは“エボリューション”エンジンを搭載している。
今回登場したレボリューションマックス1250系エンジンも、同様の汎用性を実現しようとしている。国内にも登場したばかりのアドベンチャーモデル・パンアメリカに搭載されたのを皮切りに、今回のスポーツスターS、そして以前に発表されたコンセプトモデルではネイキッドスポーツなどに搭載することも検討されていた。まさしくハーレーダビッドソンの新世代を担うエンジンである。
スポーツスターSのレボリューションマックス1250Tエンジンは、DOHC4バルブと可変バルブタイミングを搭載した挟み角60度の水冷式V型2気筒パワートレインで、フレーム剛性の一部を担う。最高出力は121hp/7500rpmを発揮(北米仕様のみ公表)し、最大トルクは12.7kg-m/6000rpm(日本仕様)だ。
電子制御は6軸IMU搭載によるスポーツ/ロード/レインの3種類のライディングモードを採用し、パワー、コーナリングエンハンストABS(C-ABS)、コーナリングエンハンストトラクションコントロールシステム(C-TCS)、エンジンブレーキ制御にあたるコーナリングエンハンストドラッグトルクスリップコントロールシステム(C-DSCS)を組み合わせた統合制御を行う。さらに個別にカスタマイズも可能だ。
パンアメリカが搭載するレボリューションマックス1250エンジンと異なる点は、小径バルブ&ポートの採用と燃焼室形状の違いにより低回転トルクを増していること。3000~6000rpmではトルクを10%増強したという。またピストン形状や吸気管長、エアクリーナーボックス容量、カムプロファイル、可変バルブタイミング(VVT=Variable Valve Timing)のプロファイルも異なっている。
―― バランサー内蔵ながら”生きてる感じ”を実感できる振動は残したというレボリューションマックス1250Tパワートレインを搭載。フレーム剛性の一部を担い、シリンダーはアルミ製シングルピース。カムカバーとプライマリーカバーは軽量なマグネシウム製だ。VVTは吸排気カムシャフトそれぞれに設けられ、低回転から高回転まで淀みないトルクと高い燃焼効率を誇る。ガソリンは91オクタン以上を指定するが、ノックセンサーの導入により低オクタン価のガソリンでも走行することは可能だ。鍛造ピストンはスカート部にコーティングを施し、低張力ピストンリングも採用することでフリクションを低減。クラッチはアシスト&スリッパータイプ。
―― 4インチ丸型液晶メーターを採用。速度、ギヤポジション、オド、トリップ、走行可能レンジ、燃料残量、時計、外気温、低温警告、サイドスタンド警告、タコメーター、タイヤ空気圧、エンジン温度、バッテリー電圧などを表示可能だ。
メーターは4インチの丸型フルカラーTFTディスプレイで、Bluetoothでスマートフォンと接続することでターンバイターンのナビゲーションシステムやハンズフリー通話などを利用可能。音楽も聴ける。クルーズコントロールも装備し、灯火類はフルLED。USBタイプC 5V/2.4Aのパワーアウトレットも備える。
装備重量は228kgと軽量で、φ43mm倒立フロントフォーク/ピギーバックタイプのリヤショックは、ともにSHOWA製フルアジャスタブル。スポーツスターの名の通り“スポーティさを取り戻す”ため走りのパフォーマンス追求にも抜かりはない。タイヤはダンロップ製GT503だ。
モダンクラシックなデザインは、新生スポーツスターを強く印象づけるための最初の一手として、あえてスタンダードから外したワイルド路線に。ただ、それでもハーレーらしいと感じさせるのは、さまざまな世代のスポーツスターから象徴的なデザイン要素を織り込んでいるからだ。右2本出しマフラーを中心としたテールセクションはXR750をオマージュし、16インチの太いフロントタイヤはフォーティエイトのイメージ。スイングアームの造形なども、どこかハーレーらしい湾曲ラインに思えてならない。
そして、これを“最初の一手”と言うからには次の一手もある。スポーツスターSの紹介映像の中でチラ見せされているクラシックスタイルのスポーツスター(下の写真)も、そう遠くない将来に登場するはずだ。また、レボリューションマックスエンジンを搭載する別のモデルの登場も……期待せずにはいられない!
―― おお、ツインショック! こちらは映像内でチラ見せされたクラシックスタイル版と思われる新スポーツスターだ。
なお、空冷エンジンを搭載する現行のスポーツスターについて特にアナウンスはないが、状況から見て、このまま水冷の新シリーズにバトンタッチ&フェードアウトしていくセンが濃厚だ。
【HARLEY-DAVIDSON SPORTSTER S[2021 model]】主要諸元■全長2270 [全幅843] [全高1089] 最低地上高90 軸距1520 シート高755(各mm) 車重228kg(装備)■水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ 1252cc [121hp/7500rpm] 12.7kg-m/6000rpm 変速機6段 燃料タンク容量11.8L■キャスター30°/トレール148mm ブレーキF=[φ320mmディスク+ラジアルマウント4ポットキャリパー] R=[φ260mmディスク+1ポットキャリパー] サスペンショントラベルF=[92mm] R=[51mm]■タイヤサイズF=160/70TR17 R=180/70R16 ※諸元は日本発表/[ ]内は北米仕様のみ発表され日本仕様では未発表の数値 ●価格&色:ビビッドブラック=185万8000円/モノトーン(ミッドナイトクリムゾン、ストーンウォッシュホワイトパール)=188万7700円 ●国内予約販売開始日:2021年7月14日 ●納車開始時期:2021年秋
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ついにHarleyが空冷を止めそうですね。
水冷は部品が増えて複雑にはなりますが、絶対に必要だとは思います。
エンジンを冷やすことは必要ですが、Harleyで構造が複雑になるのは…
ちょっと複雑です…
でもいつか空冷は無くなるんですからしかた無いです…